オフショア・バランシングの理論的考察

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タイトル別名
  • Theoretical Analysis of Offshore Balancing

抄録

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「オフショア・バランシング」は、理論的にはジョン・ミアシャイマーやスティーヴン・ウォルトといったリアリストに提唱され、現実的にはバラク・オバマ政権が目指した外交政策の一つとして、近年注目を浴びている。オフショア・バランシングは、超大国がグローバルな覇権を目指すのではなく、各地域の同盟国と協力して、効果的な統治を展開する戦略である。現在、覇権国と評価されるアメリカのオバマ大統領は、「財政の崖」に直面したこともあり、いかに同盟国を通した間接的な関与が可能かを追求した。  確かに、オフショア・バランシングを採ることでアメリカはその財政的負担を減らすことができ、覇権挑戦国を抑止しつつ、力を蓄えることが可能となる。しかし、ジョン・アイケンベリーなど、リベラルな覇権主義者から批判されるように、他国の視点に立つと、オフショア・バランシングは、超大国であるアメリカが国際秩序の維持という責任を放棄する行為とも理解される。  このように考えると、アメリカはオフショア・バランシングと直接的な関与を一貫した指針に基づき、使い分けながら国際秩序の維持に努めるべきであろう。

収録刊行物

  • 法学新報

    法学新報 123 (7), 211-230, 2017-01-16

    法学新報編集委員会

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