モンテスキューの専制国家批判と政治的自由国家論

書誌事項

タイトル別名
  • L’État despotique et la république libérale chez Montesquieu

抄録

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シャルル= ルイ= ドゥ= モンテスキューは『法の精神』のなかで、ある国家が軍隊を増強すると、ほかの国家も増強して「共通の破滅」をもたらすことを憂慮していた。『ペルシア人の手紙』では「砲弾の発明」が「ヨーロッパのすべての国民の自由をうばった」と、レディという人物にかたらせている。君主は「砲弾の第一発」をくらっただけで降参したような町人に「要塞の守備」をまかせておけなくなって「正規軍の大部隊を維持」し「臣民を抑圧」した。もっともモンテスキューは同書のなかで、人間にとって「もっと残酷な破壊方法」「致命的な発明」があらわれても「万民法」「諸国民の一致した同意」によって禁止されるであろうと、ユスベクという人物にのべさせている。こうした「人間の理性、熟議、自由意志、統御力」にたいする「ナイーヴな期待」をもちつづけることがむずかしい現代では「近代技術のあり方を再検討し、その極点としての核兵器と原子力発電を廃絶すること。そのために人間の諸能力(理性、自由意志、熟議、統御力)をめぐる根源的な問い直しから出発すること」が重要な課題となろう。

収録刊行物

  • 法学新報

    法学新報 123 (7), 571-601, 2017-01-16

    法学新報編集委員会

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