製品開発に関する調査2020 : 14年間の変化傾向と単純集計の結果

書誌事項

タイトル別名
  • セイヒン カイハツ ニ カンスル チョウサ 2020 : 14ネンカン ノ ヘンカ ケイコウ ト タンジュン シュウケイ ノ ケッカ
  • Seihin kaihatsu ni kansuru chōsa 2020 : 14nenkan no henka keikō to tanjun shūkei no kekka
  • Longitudinal survey on new product development 2007-2020

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抄録

type:text

筆者は2007度年から日本企業を対象に研究開発,製品開発に関する二つの調査を行ってきた。本稿では,2020年11月に行った「製品開発に関する調査」(通算11回目)の結果について報告する。2007年から2020年のトレンド係数が有意となったのは,設定した250項目のうち27項目であった。変化した項目からは前回調査同様「市場の変動の低下」「ユーザーとの関係の変化」「開発プロセスでの情報収集活動の低下」「製品の複雑化」「企業内,企業間での情報共有の進展」「企業内での公募,知識や情報共有の低下」などの問題が重要化していることがわかった。 2020年度は東日本大震災・福島原発事故から10年が経過し,また新型コロナウイルスによる緊急事態宣言もあったので,これらに関する質問も設定した。この結果,以下の点が明らかとなった。東日本大震災・福島原発事故時は「自社の拠点」や「売上」への影響よりも「原材料の調達」「製品の流通」などサプライチェーンへの影響が大きかった。自然災害や大火災,疫病等の緊急事態対応のため6割の企業が「業務継続計画の策定」「社内での訓練」を行っているが,「調達先の整備」「生産拠点の整備」など外部との調整は4割程度,「官庁,自治体との情報共有,連絡」は2割程度しか行っていない。新型コロナウイルスへの対応としてのリモート化に関しては,「社内」「取引先」との製品開発の会議や打ち合わせには導入が進んだ企業が多いが,「全社的な出社頻度」については低下していない企業も多い。新型コロナウイルスの影響によって6割程度の企業で「自社の売上が減少した」一方で,3割程度の企業が「新しいニーズ」,1割程度が「新しい販路」を見いだした。緊急事態に対して,「国や自治体の指針よりも厳しい基準で出社制限などを行っている」企業は2割程度にすぎず,6割の企業が「国や自治体の指針が発出されたタイミングで出社制限などを行っている」。過去の緊急事態を踏まえて企業は一定の対応準備を進め,リモート化などによって対応してきたが大きな課題に直面している。企業も課題解決に努力しているが,その意思決定に大きな影響を与える国や自治体はさらに迅速な対応をする必要がある。

資料

収録刊行物

  • 三田商学研究

    三田商学研究 64 (2), 57-85, 2021-06

    慶應義塾大学出版会

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