津留研究史への疑義二点 : 戦前日本民俗学における史料批判の欠如について

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  • ツリュウケンキュウシ エ ノ ギギ ニテン : センゼン ニホン ミンゾクガク ニ オケル シリョウ ヒハン ノ ケツジョ ニ ツイテ
  • A critical Study of a water dwellers village in Japan : Folkloric study before World War II

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抄録

本稿では、日本民俗学の黎明期である一九一〇年代に、水上生活者の根拠地として研究者に見出された大分県臼杵市諏訪津留(以下では津留とする)の研究史を振り返り、二点の疑義を提出する。第一は、津留の人びとが元は民間宗教者であったとする、柳田國男の仮説に対する疑義である。第二は、研究者の聞き取りによると素朴に信じられていた情報の出処への疑義である。フィールドワークと文献調査を行い、津留の人びとが元民間宗教者であったとする柳田國男の仮説は、不十分な史料批判によること、また従来、素朴に「聞き書き」によると考えられてきた報告は、津留の問題点を書き連ねた行政文書の影響を受けていることを確認した。

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