「夜をこめて」再考:『枕草子』第130 段前半を読み解く

書誌事項

タイトル別名
  • A Restudy of ‘Yo-wo-kome-te’ : Interpretation of the First Half of the 130th verse of “The Pillow Book”

この論文をさがす

説明

要旨  これまで、『枕草子』第130 段の清少納言歌の「夜をこめて」という表現は、①「まだ夜の明けないうちに」、②「一晩中」、③「夜が深いうちに」という三つの解釈がなされてきた。本稿ではまず、「夜をこめて」という表現が、清少納言と藤原行成のどのような会話で生まれたのかを考察した。二人の会話は、後朝の文を装った行成に対し、それに乗りつつも不実をなじる清少納言、という形で展開している。清少納言の「夜をこめて」という表現は、行成が午前一時より前に清少納言のもとを辞したことを前提とする表現であることを示した。続いて、『枕草子』の同時代までの「夜をこめて」の用例を挙げて考察し、「一晩中」という解釈が不当であることを示した。これらの考察から、当章段の「夜をこめて」は「夜が深いうちに」と解釈すべきことを明らかにした。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ