詩人探偵の系譜を受け継ぐT・S・エリオット

書誌事項

タイトル別名
  • シジン タンテイ ノ ケイフ オ ウケツグ T・Sエリオット
  • T. S. Eliot: A Descendant of Poet-Detective Heritage

この論文をさがす

抄録

詩人T・S・エリオットは1920 年代にヨーロッパの知性を結集すべく立ち上げた文芸誌 『クライティリオン』 誌のなかで数多くの探偵小説を書評し、探偵小説論を開陳した。これはなにを意味するのか。個人的な探偵小説の愛好と言うだけでは済まされない。エリオットは現代都市の清新な詩情を表現して現代英米詩に革新をもたらしたとされる。本稿はこの都市の詩情の系譜について論じる。エリオットは伝統の意義を強調した詩人である。系譜を問題とせざるを得ない。例えば、エリオットは形而上派詩人の現代における継承者を自任していた(少なくともある時期までは)。エリオットが探偵小説に強い関心を示したのは、この継承ということに関係するのではないか。本稿は主としてヴァルター・ベンヤミン(Walter Benjamin)のボードレール論やG・K・チェスタトン(G. K. Chesterton)の探偵小説擁護論に依拠しつつエリオットにとっての探偵小説の意味を探る。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ