Qグループの異邦人観に関する一考察 : ——マタイ5:47及びルカ6:33(Q6:33)を手掛かりにして——

書誌事項

タイトル別名
  • Qグループ ノ イホウジン カン ニ カンスル イチ コウサツ : マタイ 5:47 オヨビ ルカ 6:33 (Q6:33) オ テガカリ ニ シテ
  • The Attitude of the Q group to the Gentiles : With Special Reference to Matt. 5:47 and Luke 6:33(Q6:33)

この論文をさがす

抄録

本稿は、主にマタイ5:47とその並行箇所であるルカ6:33のテクスト考察を通して、その底本であるQ 文書(Q 6:33)に表出されている異邦人観を究明する。マタイ5:47では「異邦人」に対して、並行箇所のルカ6:33(=Q 6:33)では「罪人」に対して、蔑視的発言が見出される。この考察によって、底本のQ 文書には元来「異邦人」という語があったことが明らかになる(ルカはそれを「罪人」に変えた)。マタイ6:32とその並行箇所であるルカ12:30(Q12:30)にも「異邦人」を見下す文言が見出される。Q文書において複数の箇所で、異邦人を蔑視する発言が見出されるということは、Q文書の担い手たち(=Qグループ)は基本的にユダヤ人たちであり、ユダヤ人が通常持っている感覚で異邦人を見下していたということが高い蓋然性をもって言えることになる。使徒パウロが信仰義認の教説を唱え、キリストにあってはユダヤ人と異邦人の区別はないことを説いたのは一世紀半ば頃であったが、その頃から一世紀後半にかけて、このようなキリスト者の群れがあったことは、当時のユダヤ教イエス派の多様性として正しく認知されるべきである。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ