国立研究開発法人の研究開発費に係る考察 (1)

書誌事項

タイトル別名
  • コクリツ ケンキュウ カイハツ ホウジン ノ ケンキュウ カイハツヒ ニ カカル コウサツ (1)
  • Kokuritsu kenkyū kaihatsu hōjin no kenkyū kaihatsuhi ni kakaru kōsatsu (1)
  • Considerations on research and development expenses of national research and development agency
  • A study on R & D expenses of Japanese national research and development agencies

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抄録

type:text

本論文は,国立研究開発法人の研究開発成果を会計情報として写像したうえで「有効性」概念に基づく活用をするために,サービス提供能力,世代間衡平性などの公会計特有の概念をもとに,研究開発に係る自己創設無形資産に係る概念の拡充および行政コスト概念の精緻化を考察することを目的とする。 国立研究開発法人に適用されている独立行政法人会計基準は,独立行政法人通則法により企業会計原則によることとされている。そのため,国立研究開発法人の研究開発費はプライベートセクターと同様に,即時費用処理される。 そこで本稿(1)では,研究開発費について「公会計基準に係る現状の考察」を目的として,まず,パブリックセクターの研究開発費に係る会計基準について,グローバルレベル,ナショナルレベル,ローカルレベルに分けて検討する。グローバルレベルでは国際公会計基準,ナショナルレベルおよびローカルレベルでは,米国および日本の現状の会計基準を概観したうえで,日本のパブリックセクターにおける会計基準が即時費用処理の影響を色濃く受けていること,それと対照的に,グローバルレベルおよび米国のパブリックセクターにおける会計基準では一歩踏み込んだ会計処理や開示がなされている実状を明確にする。 次に,現行のプライベートセクターにおける研究開発費の会計処理について,基本的な検討がなされた米国会計基準審議会財務会計基準書第2号を対象に,その形成過程の検討状況を概観する。この形成過程では,費用処理法,資産計上法,条件付資産計上法,特別勘定法の4つの会計処理法が対象とされているが,パブリックセクターにおける研究開発費の会計基準に影響を与えている費用処理法に焦点をあて,その根拠とされた5つの観点と他の方法に対する反論を概観する。 本稿での検討は,次稿以降で展開する国立研究開発法人の研究開発費に係る資産概念の拡張と行政コストの精緻化並びに開示情報の拡充を論ずる前提となる。 This paper examines the capitalization of internally generated intangible asset in order to reflect and make effective use of the results of Research and Development activities of the National Research and Development Agency in Japan as financial accounting information. The purpose is to reconsider the concept of assets and administrative costs in public sector accounting. First, we overview accounting standards for Research and Development in the public sector. Next, we confirm the basis of the immediate expensing related to R&D expenditures, by reviewing the standard formation processes of the FASB Statement of Financial Accounting Standards No. 2.

論文

収録刊行物

  • 三田商学研究

    三田商学研究 64 (5), 13-33, 2021-12

    慶應義塾大学出版会

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