プライバシ保護ゲノム解析のための秘密計算フィッシャー正確検定の実装評価

抄録

ゲノム解析におけるプライバシ保護のため, ゲノムデータを秘匿しつつ解析可能とする研究が活発 に行われている. ゲノムワイド関連解析(GWAS)の重要な検定手法としてフィッシャー正確検定が知られるが, ゲノムデータを秘匿しつつ実行するためには次の二つの技術課題がある:(1) フィッシャー正確検定の超幾何分布を効率よく求める方法が自明でない, (2) GWAS では数十万から数千万回のフィッシャー正確検定を行う場合があり全体の計算時間が膨大となる. 筆者らは第 74 回 CSEC において, これらを解決する手法を提案した. 本研究では, その手法の効率的な実装を行い, 計算時間の評価を行った. 具体的には,フィッシャー正確検定の入出力対応表を決定木表現する手法について,メモ化を適用して, Nを標本数とするとき, シンプルな実装より計算時間を 1/ log N 倍効率良くする実装を行った. また, 実験により, N = 1, 000 の分割表を100万回処理する場合,フィッシャー正確検定の入出力対応表を単純に等号判定の秘密計算を繰り返す手法では 20 年以上かかる見積もりに対し,提案方式では実測で 8 分以内となり, 十分実用的であることを確認した.

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1050855522083116800
  • NII論文ID
    170000177846
  • Web Site
    http://id.nii.ac.jp/1001/00189979/
  • 本文言語コード
    ja
  • 資料種別
    conference paper
  • データソース種別
    • IRDB
    • CiNii Articles

問題の指摘

ページトップへ