情報倫理ビデオ教材の作成と評価

抄録

コンピュータネットワークにおいて事件・事故が多発している今日、情報倫理教育において重要なのは、学習者自身が事件・事故の被害に遭ったときに、どのようなことになるかを想像する能力である。この能力を養成するには、情報社会におけるさまざまな役者(コンピュータの仕組み、ネットワークの仕組み、法制度、認知、心理、金銭的問題)についての背景知識と、現実問題の因果関係に関する知識である。筆者(第一著者)は以前から「事件・事故にを題材としてインターネットを使った取材をおこない、それをブレゼンテーションソフトの使い方を学びながら他者に発表し、その相互批評を行なう」という授業方法が効果的であるという主張を行ない、実際にそのような授業を行なった結果などを発表してきた。このような研究を行なっている筆者は、最近、メディア教育開発センターの「情報倫理ビデオ教材作成プロジェクト」に参加する機会を得た。これは、主に大学1年生を対象として、情報倫理に関わる初心者に多発する事件・事故のいくつかを取り上げ、俳優に演じてもらい、それをビデオ映画としてまとめたものである。完成までに、筆者らは多数のテーマを列挙し、事例収集を行ない、それらのテーマを予算的に可能な範囲に絞り込むと共に脚本化を行ない、効果的に演じることができる俳優3名のオーディションを行なった。また、筆者らは実際に撮影現場に立ち会い、撮影当日に発生したさまざまな問題について監修を行なった。さらに、撮影された画像と脚本の秒単位での時間的誤差を修正するために、ナレーション用セリフの伸縮を録音現場でおこなった。このようにして完成したビデオ教材は、短篇テレビドラマ風であり、主な学習者である大学1年生が実際に事件・事故に巻き込まれたときの様子を想像するに十分な内容を含んでいる。また、これらのビデオ教材のそれぞれのテーマに対して、Javascriptを用いた簡単な自己点検テストを用意した。そして、、実際に、複数の大学1年生の授業に本ビデオ教材を用いた。その際に自己点検テストとビデオ教材に対するアンケートも実施した。本発表では、これらのテスト評価の分析と、アンケート結果についての解析も公表する。

収録刊行物

被引用文献 (2)*注記

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1050855522090773888
  • NII論文ID
    80016198883
  • Web Site
    http://id.nii.ac.jp/1001/00099806/
  • 本文言語コード
    ja
  • 資料種別
    conference paper
  • データソース種別
    • IRDB
    • CiNii Articles

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