一方向的な発話を実時間で理解する聞き手の認知モデル

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タイトル別名
  • A Cognitive model of listener in one-way and real-time communication.

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抄録

これまでの談話理解の研究では、主に時間経過に伴う状態の変化が少ない静的な世界についての談話を対象としてきた。しかし日常的な談話には時間経過にともなう状態の変化が活発な対象について言及するものが多く存在する。例えばラジオによる野球の実況中継などがある。このような対象について、その状態を言語によって伝達するとしたとき、聞き手は伝達された対象の状態をすみやかに理解し、次の発話に備えなくてはならない。本稿では、言語による一方向の伝達情報を実時間で理解する聞き手側の認知モデルを提案する。連続的に送り込まれてくるのみの情報を実時間で理解するためには効率のよい処理が必要である。特に話し手の発話によって操作される聞き手の記憶している知識の操作が重要となる。このモデルでは、心理学的に長期記憶に相当する領域がプロトタイプ的な知識を記憶し、短期記憶に相当する領域がインスタンス的な知識を記憶する。そして伝達された情報をトップダウンに適切なインスタンスである知識フレームに埋め込むことで聞き手は伝達情報を理解できると仮定する。そしてこの認知モデルを計算機に実装することによって、モデルの妥当性を検証する。また、この計算機上でのモデルから、活性化しているインスタンスフレーム数とそれらが存在する領域の大きさの関係から、上記の制約をもった情報理解における効率性について検討する。

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