三河湾におけるアサリの漁場造成手段としての砕石覆砂の効果と環境要因との関連

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タイトル別名
  • Effects of scattering crushed stone for building fishing grounds of asari clam Ruditapes philippinarum, corresponding to environmental factors, in Mikawa bay, Japan
  • ミカワワン ニ オケル アサリ ノ ギョジョウ ゾウセイ シュダン ト シテ ノ サイセキフクサ ノ コウカ ト カンキョウ ヨウイン ト ノ カンレン

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抄録

資源が大幅に減少した三河湾の一色干潟において,豊川河口から移植したアサリ稚貝の定着と現存量の推移について,砕石覆砂の効果と環境要因との関連を調査した。砕石覆砂区におけるアサリ現存量と漁業資源量は,細砂主体の原地盤区よりも明らかに多かった。また、砕石覆砂区のアサリ肥満度と群成熟度は原地盤区よりも常に高く,再生産に対しても有効であると考えられた。一方,11月から12月にかけて現存量は著しく減少した。この期間においては,海水クロロフィル濃度が低く,アサリの肥満度も低く推移したことからも,餌料環境の悪化が関係したと考えられた。試験操業に参加した腰マンガ漁業者へのアンケート結果によると,7号砕石は概ね操業には支障にならないものの,アサリ漁獲資源量は漁業にとって十分な水準に達していないことも示唆された。餌料環境等を考慮した適地選定の課題はあるが,アサリ資源の維持増大には,海域の生産性改善の取り組みと並行して,砕石のような安定性の高い基質を用いた造成場の活用を端緒とし,現状の資源縮小を解消していくことが必要であると考えられた。

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