豊前海におけるナルトビエイの食性

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タイトル別名
  • ブゼンカイ ニ オケル ナルトビエイ ノ ショクセイ

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抄録

周防灘では近年,二枚貝類を捕食するナルトビエイの来遊により,アサリ等有用二枚貝類における深刻な漁業被害が発生している。本研究では,知見の少ない福岡県豊前海区におけるナルトビエイの生態解明のため,ナルトビエイの消化管内容物の分析によって得られたデータから当海区における本種の食性について検討した。その結果,当海区における空胃率は19.7%で,有明海や周防灘南部海域と比較して低かった。特定された捕食生物はマテガイ,バカガイ,アサリ,トリガイ,アカニシ,サルボウガイの6種であった。種の特定に至らなかった内容物については,軟体動物門,二枚貝綱,腹足綱,ホヤ綱,新腹足目,マボヤ目,マルスダレガイ目,イガイ科,ザルガイ科,バカガイ科,フネガイ科,マルスダレガイ科が確認された。ナルトビエイの雌雄による捕食生物種の明らかな違いは確認されなかった。捕食した生物の量及び個体数については,大型・中型個体ではマテガイが,小型個体ではアサリが最も多かった。体重に占める消化管内容物の重量比は,小型,中型,大型個体の順に高く,平均値は0.4%で周防灘南部海域と同程度であった。

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