2007~2019年における牛呼吸器由来菌の薬剤感受性

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タイトル別名
  • Antimicrobial susceptibility of microbial isolates from bovine respiratory organs in 2007-2019
  • 2007~2019ネン ニ オケル ギュウ コキュウキ ユライキン ノ ヤクザイ カンジュセイ

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抄録

近年,世界的な問題である薬剤耐性(AMR)に対して,我が国ではAMR対策アクションプランが実行され,動物衛生分野でも動物用抗菌剤(抗菌剤)の慎重使用の徹底が推進されている。牛において,牛呼吸器病症候群(BRDC)は経済的損失が大きく,BRDCの主要病原体としてPasteurella multocida(Pm),Mannheimia haemolytica(Mh)及びMycoplasma bovis(Mb)が知られる。これらの治療には抗菌剤が使用されることが多く,抗菌剤を慎重使用するためには,薬剤感受性を調査したうえで適切な抗菌剤を選択することが重要である。本研究では,2007年から2019年にかけて分離した牛呼吸器由来のPm,Mh及びMbを対象として薬剤感受性試験を実施し,一次選択薬及び二次選択薬に分けて薬剤感受性の動向を調査した。その結果,Pm及びMhの薬剤感受性は,一次選択薬では全調査期間を通して感受性の割合を高く維持する薬剤CEZ,FFCと,耐性又は中間の割合を高く維持する薬剤KM,TSが存在した。二次選択薬では全調査期間を通してMBFX,CTFが感受性の割合を概ね高く維持していた。Mbの薬剤感受性は,一次選択薬及び二次選択薬ともに全調査期間を通して徐々に低下した。二次選択薬MBFX及びERFXのMIC分布は感受性と耐性から成る二峰性であり,Mbに対しては薬剤感受性試験により適切な薬剤を選択すべきであることが強く示唆された。また,二次選択薬のMbに対する薬剤感受性を地域別に考察することにより,抗菌剤使用量と薬剤感受性の相関が示唆された。本研究では,抗菌剤の慎重使用のため,抗菌剤の使用にあたっては薬剤感受性試験により適切な抗菌剤を選択すべきであることがあらためて確認された。

収録刊行物

  • 家畜衛生学雑誌

    家畜衛生学雑誌 46 (2), 89-98, 2020-10

    武蔵野 : 日本家畜衛生学会

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