河口域に流下した落葉が海産ヨコエビAnisogammarus pugeensisに果たす役割

抄録

森林域から河口域に流下した粗大有機物が、沿岸に生息するトンガリキタヨコエビ(Anisogammarus pugettensis)の隠れ場所や食物資源としてはたす役割を明らかにするために飼育実験を行った。1、粒径と量の異なる落ち葉だまり内において、クロガシラガレイ若齢魚を捕食者として24時間後のトンガリキタヨコエビの生残率を測定した。ヨコエビの生残率はどの粒径においても量が多い場合に最大であった。2、落葉と海藻(ホソメコンブ)を食物資源としてトンガリキタヨコエビの飼育実験を行い、成長速度と炭素安定同位体比を調べた。ヨコエビの安定同位体比からは、海藻に加え、体内に落葉も取り込んでいる事が示された。トンガリキタヨコエビは、落葉を主に隠れ場所として利用するが、予備的に食物資源としても利用していると推察され、河口域の落葉だまりは、低次消費者の涵養の場として重要な役割を果たしていると考えられた。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ