終末期における自己決定権を巡るドイツ判例及び学説の動向
書誌事項
- タイトル別名
-
- Die Tendenzen der Rechtsprechung und Literatur zum Selbstbestimmungsrecht am Lebensende
抄録
application/pdf
業としての自殺援助を禁止するドイツ刑法217条は,2020年2月26日に連邦憲法裁判所によって違憲と判断されるに至った。他方,日本においては刑法202条前段が自殺関与罪を定めているが,これが違憲であるとの主張は刑法学において未だ有力に主張されてはいない。こうした法体系上の差異を認めながらも2020年判決の比較法的意義を検討するにあたっては,その背景にあるドイツ基本法の思想を解明することが不可欠である。このような問題意識に基づき,本稿ではまずStGB217条が施行されてから2020年判決に至るまでに連邦憲法裁判所,連邦行政裁判所,そして連邦通常裁判所によって下された4件のドイツ判例を紹介し,次いでこれらの判例に対する学説からの反応を検討する。そして,これによって判例及び学説に通底する基本法思想を明らかにし,当該問題領域を巡る今後の日本の議論においても共有されるべき自己決定あるいは人間の尊厳という概念について,その外縁を明確にすることを試みるものである。
収録刊行物
-
- 比較法雑誌
-
比較法雑誌 55 (1), 123-175, 2021-06-30
日本比較法研究所
- Tweet
詳細情報 詳細情報について
-
- CRID
- 1050856196397478400
-
- ISSN
- 00104116
-
- 本文言語コード
- ja
-
- 資料種別
- departmental bulletin paper
-
- データソース種別
-
- IRDB