障害のある外国籍の児童に対する仲間づくり支援についての研究

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  • Research on Support for Making Friends with Children of Foreign Nationality with Disabilities

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抄録

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1990 年代以降,各学校現場において「外国にルーツを持つ子ども」が増加傾向にある.学校生活において彼らは,言語面で困り感を持つ場面が少なくない.そのため,日本語の使用や理解が難しいという理由で特別支援学級に入級しているケースもあるという.一方で,特別支援学校に在籍する外国籍の児童生徒数は相対的に少なく,特別支援学校における系統的な支援体制の確立が難しい.そこで,三重県立P 特別支援学校小学部に在籍する児童Aに対する実践を通して,障害のある外国籍の児童への支援の具体について検討した.その際,学校心理学における心理教育的援助サービスの視点を採用し,「援助資源チェックシート」や「援助チームシート」を使って分析を行った.その結果,通訳の存在を最大限に利用することや,聴覚的な優位性を活用した支援方法が有効であることが明らかになった. 実際の支援の場面では,児童A の母語であるポルトガル語と日本語の両方を使うために,通訳および家庭との連携を充実させ,教職員がポルトガル語を使って支援を行うための環境整備に取り組んだ.支援用のカードを作成して壁面に掲示することで,教職員がポルトガル語で指示しやすくなり,結果として児童A が安定的に学校生活を過ごすことが可能となった.また,心理的な安定が児童A と周囲の友だちとの関係構築にも繋がり,一緒に活動することができるようになった. 実践を通して,「みんなで支える」「子どもの強みを生かす」といったチーム援助および長所活用型の視点の重要性が示唆された.

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