漢代画像石の観漁図に見る漢文化と地域

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タイトル別名
  • カンダイ ガゾウセキ ノ カン ギョズ ニ ミル カンブンカ ト チイキ
  • カンダイ ガゾウセキ ノ カンリョウズ ニ ミル カンブンカ ト チイキ
  • Han Dynasty Culture and Region in the Pictorial Arts of “Figure Watching Fishing" (Guan Yu Tu)

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抄録

本稿では漢代墓葬装飾の「観漁図」の図像解釈を行う。観漁図は山東丘陵西部の両城や滕州出土の漢代画像石に多く見える図像である。図像解釈によって統一帝国における漢文化の広まりとその地域的表出のあり方を見ていく。観漁図の配置を調査すると、観漁図は西方に置かれ、漢代の月令や陰陽五行思想を反映したものであることが分かる。また、観漁図での魚を釣り上げる描写は、先祖の弔いだけでなく昇仙思想も示している。これらは漢文化の特徴であるが、その象徴性はこの地域に特有な居住地近くの養魚池に表現されている。このことから、この地域の歴史と生態環境に則した形で漢文化を表現するという、成熟した地域の姿が見えてくる。墓葬装飾には地域における漢文化の受容がよく表れていると同時に、地域の歴史や自然環境などの地域性を読み取ることができる。

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