カウツキーにおける進化と共生 : 『倫理と唯物史観』をふまえて

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タイトル別名
  • カウツキー ニオケル シンカ ト キョウセイ : リンリ ト ユイブツ シカン オ フマエテ
  • Karl Kautsky's thought on evolution and coexistence: : Review of Ethics and Materialist Conception of History

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抄録

カウツキーは1980年代以降,民主主義や民族問題に関する考察などをふまえ,再評価の試みがなされてきた。カウツキーにはさまざまな種や民族の共生という論理があり,多様性や共生という点で評価しうるようにみえる。だがその一方で,カウツキーはダーウィニズムの影響を受け,進化における淘汰,強者による排除という思考様式も見せていた。本稿では『倫理と唯物史観』(1906年)を中心に,カウツキーにおける共生をいかに捉えることができるのか検討する。カウツキーは唯物史観の形成史を考察した限りでは,マルクスやエンゲルスの立場を踏襲していた。また分業と進化を考察した所でも,共生の論理を見いだすことができる。だが社会的本能をもとに,人類社会の歴史を具体的に考察するに及び,淘汰による進化という視点が明確になる。以上をふまえ,カウツキーにおける共生とは強者の支配のもとでの棲み分けという側面があることを指摘する。

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