教員の離職に関する量的研究 : 1976年度京都市立小学校に新規採用された教員の追跡

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  • A quantitative study of teachers leaving school : the analysis of Kyoto City elementary school teachers appointed in 1976

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抄録

type:Departmental Bulletin Paper

本論文は、同一年度に小学校教員として新規採用された、多くが20歳代前半の260名のコーホートを対象に、その在職と離職の推移を勤務経験年数、男女別、学校間転任との関連で最大40年間調査した結果を報告している。1976年の春、京都市立小学校教諭に就いた189名の女性と71名の男性を追跡した結果、経験年数5年以内に16.1%が、10年以内に22.7%が離職と、比較的早く学校を離れた者が見られる一方、30年以上勤務した者は56.9%、定年退職まで勤めたのは36.2%と長期に及んだ者も少なくない。また、男女別と離職率および離職時期の関連は顕著で、定年まで勤務した男性が70.4%に上るのに対して女性は23.3%と男性の約3分の1、また、10年以内の離職は男性が1.5%に対して女性は30.7%と、両者はまったく異なっていた。性差もあいまって、少なくとも同一自治体に勤務した教員の教職生涯の長さは多様であり、校長等管理職に至る、生涯にわたる教職キャリアを想定した職能開発論の限界は明らかである。なお、教員の休職や離職の契機になっているのではないかと推定される学校間転任については、本事例の限りその関連は認められなかった。

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