『眺めのいい部屋』における導き手的人物の役割
書誌事項
- タイトル別名
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- The Role of a Mentor and Emancipator in A Room with a View
抄録
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E・M・フォースター作『眺めのいい部屋』(1908)最終章で,ルーシー・ハニチャーチとジョージ・エマソンは,主として前者の迷いが原因であるが,紆余曲折を経た後,半ば駆け落ち婚という形で結ばれ,二人が出会うきっかけになったフィレンツェのペンション・ベルトリーニに再び滞在していることが語られる。二人が宿泊している部屋は,第1 章でエマソン父子が,好意で,ルーシーとその付添人シャーロットと交換した「眺めのいい」二部屋のうち,老エマソン氏が使用していた方の部屋である。さりげない演出ではあるが,このこ とは,二人が,たとえ結ばれることが痛みを伴おうとも,社会規範や教義より,愛に象徴される個人の関係を重んじるエマソン氏の信条を継承していることを示唆している。この点,エマソン氏が主人公ルーシーに与える影響は注目に値する。本稿では,エマソン氏がルーシーのBildung(成長)に感化を及ぼす導き手的な人物として機能していることを論じる。まず,エマソン氏につながる人物造形を作品の創作過程と社会改革家・思想家エドワード・カーペンターの思想から考え,続いて,作品におけるルーシーの精神的成長をイギリスの教養小説の系譜と比べた後,エマソン氏が導き手的人物として,どのようにひずみが生じたルーシーの成長の軌道修正を促すかを考察する。こうした議論を展開することで,エマソン氏がその感化的な行動を通じて,ルーシーを混乱から解放し,彼女の自己形成をサポートする導き手になっていることを提示したい。
収録刊行物
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- 人文研紀要
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人文研紀要 101 247-265, 2022-09-30
中央大学人文科学研究所
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1050857512396807936
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- ISSN
- 02873877
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- 本文言語コード
- ja
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- 資料種別
- departmental bulletin paper
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- データソース種別
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- IRDB