抄録
Article
「蝶々の纏足」は、山田詠美がデビュー以来に初めて〈少女〉同士の親密な関係性を描いた作品である。山田詠美の描く〈少女〉は、『晩年の子供』や「箱入り娘」など、現在もなお繰り返し描かれている主要モチーフの―つである。しかし、〈性〉と〈恋愛〉を描く作家というイメージに隠され、その正体は十分に考察されているとは言えない。そこで本稿では、山田詠美の描く〈少女〉の始まり、そしてその展開を知る一端として「蝶々の纏足」を読み解いていく。まずは、本テクストを流れる時間列に沿って「私」と「えり子」の関係性を考察し、そこからの逃避として描かれる「麦生」との〈性愛〉の意味について考えていく。そして最終的に、少女同士の癒着した関係性を描くことを通して、山田詠美の作家としての素地が形成される七〇・八〇年代の〈少女文化〉を、山田自身がどのように相対化し、そこからいかなる表現を獲得したのかを明らかにしたい。
収録刊行物
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- 文学部・文学研究科学術研究論集
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文学部・文学研究科学術研究論集 7 (85)-(97), 2017-03-01
明治大学文学部・文学研究科
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1050857534501391232
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- NII論文ID
- 120006492807
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- HANDLE
- 10291/19521
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- 本文言語コード
- ja
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- 資料種別
- departmental bulletin paper
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- データソース種別
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- IRDB
- CiNii Articles