「ハイブリッド戦争」の理論と実践 : ロシアのクリミア併合(二〇一四年)を手がかりに

書誌事項

タイトル別名
  • Hybrid Warfare in Theory and Practice : The Case of Crimea in 2014

抄録

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二〇一四年のロシアのクリミア併合を契機に、欧米では「ハイブリッド戦争」についての関心が急速に高まっているが、邦語で読める「ハイブリッド戦争」の概要を伝える学術研究は非常に乏しい。本稿の目的は、「ハイブリッド戦争」とはいかなるものなのか、その理論をクリミア半島におけるロシアの実践を基に整理することである。  「ハイブリッド戦争」は、「宣戦布告がなされる戦争の敷居よりも低い状態で、特定の目標を達成するために、国家または非国家主体が調整の取れた状態で、通常戦力あるいは核戦力に支援された上で行う強制・破壊・秘密・拒絶活動」と捉えられる。本稿は、大規模な通常戦力と核戦力を持つロシアのような軍事大国が非国家主体とともに「ハイブリッド戦争」を遂行し、他国の領土一体性や政治的独立を侵害することは、武装ゲリラ掃討作戦や「テロとの戦い」とは根本的に性質が異なることを指摘した上で、新たな国際安全保障上の脅威となりつつある「ハイブリッド戦争」の暫定的対抗策としてバルト三国が進める諸政策を紹介し、「ハイブリッド戦争」についての理解を深めるべく、日本・NATO間協力を進めるよう提言を行うものである。

収録刊行物

  • 法学新報

    法学新報 125 (9-10), 83-106, 2019-01-23

    法学新報編集委員会

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