「黒い太陽」と「青い薔薇」 ―コクトーの磔刑図に関する一考察―

書誌事項

タイトル別名
  • Le Soleil noir et la Rose bleue ― Une étude sur la Crucifixion de Jean Cocteau ―

抄録

「二十の顔を持つ男」と称されたコクトーの多彩な芸術のなかで、晩年に彼が手がけた教会美術作品(壁画、ステンドグラス等)は、従来そこに作家としての創意の枯渇を指摘する向きがあり、概して等閑視されがちであった。特に1959年に制作されたロンドンのノートルダム・ド・フランス教会聖母礼拝堂内の壁画作品は、フランス国外にあることも手伝ってか、長年にわたって忘れ去られてきたのだったが、そうした状況を一変させたのが、2003年に発表され、世界的なベストセラーとなった小説『ダ・ヴィンチ・コード』である。イエスとマグダラのマリアの関係をめぐる異端思想に取材してこの作品を執筆したアメリカの作家ダン・ブラウンは、現在では祭壇から取り外され、礼拝堂横の通路兼倉庫に放置されている通称「Mの祭壇」を重要視しているが、この礼拝堂に納められたコクトーの作品のうちで最も重大な謎を孕んでいるのは、祭壇を取り囲む三面壁画の中央に配された磔刑図である。そこに描かれている数々の謎めいた図案は人物像とそれ以外のものとに分けられるが、本論では、後者の中でも特に観る者の好奇の眼差しを惹きつけてやまない二つの図案、「黒い太陽」と「青い薔薇」に着目し、図像学的な見地から両者に分析を加えながら、それぞれに託された意味とこれらを描いた作者の意図について考察を試みる。

source:http://www.f-edu.u-fukui.ac.jp/faculty/publications

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1050857977640332800
  • ISSN
    24341827
  • Web Site
    http://hdl.handle.net/10098/00029320
  • 本文言語コード
    ja
  • 資料種別
    departmental bulletin paper
  • データソース種別
    • IRDB

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