A Study of Karl Rudolph who Proposed the Local Autonomy System of Japan in the Early Meiji Era

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  • 明治初期に日本の地方自治制度を建議したカール・ルードルフの研究
  • メイジ ショキ ニ ニホン ノ チホウ ジチ セイド オ ケンギ シタ カール ・ ルードルフ ノ ケンキュウ

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Abstract

本稿は,明治の「お雇い外国人」の一人であり,地方自治制度の整備などに貢献したドイツ人のカール・ルードルフの思想やその背景について示したものである。ルードルフが日本に招聘されたきっかけや,彼自身の人物像,そして日本に対する貢献については,彼に関して残されている資料や先行研究が非常に少ないために,明確にはされていない。だが,日本が明治維新後に近代化に向けて走り始めた時に,日本の地方自治制度の整備に関してルードルフが多大な貢献をしたことについては,明確にしておくことが必要である。とりわけ,明治初期の日本において地方自治において住民総会(当時は公民総会)の規定が盛り込まれたのは,ルードルフによる建議の成果だったことは特筆されるべきものである。ルードルフがそうした建議を行った背景には,数少ない史料からではあるが,ルードルフが自由主義的かつ貴族主義的な自治思想を持っていたことが要因と考えられる。それは,ルードルフのみならず当時のプロイセンのエリートに見られる価値である。彼らの自治の思想は,騎士団的あるいはユンカー的な「自治の精神」の発露であった。彼らはプロイセンの東方へ移住していった先で農村地区を経営し,マックス・ヴェーバーが指摘したように,プロイセンにおける裕福な農民資本主義の先駆けだった。明治初期に日本がプロイセンから学ぼうとしていたのは,この「自治の精神」だったのである。

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