思考と直観 : 行為指導原理中心の倫理学をこえて

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  • シコウ ト チョッカン : コウイ シドウ ゲンリ チュウシン ノ リンリガク オ コエテ
  • シコウ ト チョッカン : コウイ シドウ ゲンリ チュウシン ノ リンリガク ヲコエテ
  • Reasoning and Intuition: : Beyond the Ethics Seeking Action–Guiding Principles

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西洋近代の倫理学は「状況超越的な行為指導原理」の探究を主たる課題としてきたが,そもそもそのような原理は存在しうるのだろうか。本稿はそのような素朴な疑問を出発点として,近代倫理学の基本姿勢がはらむ諸問題を考察し,その考察の上に倫理学が今後進むべき方向性を展望することを目的とする。そのためまず第2章では,西洋倫理学がどのような事情により「徳とはなにか」を中心主題とする徳中心倫理学から,「正しい行為とはなにか」を中心主題とする行為指導原理中心倫理学へと変容するにいたったのかを考察する。また,その考察を踏まえて第3章では,哲学者オークショットの合理主義批判を手がかりに,行為指導原理の探究という企て自体がはらむ理論的難点を確認したうえで,道徳心理学者ハイトの理論も参照しつつ,(1)近代倫理学が行為指導原理の探究を通じてなしとげようとしたことが,実際には近代倫理学ではなく「習慣の道徳」によってなしとげられたこと,(2)しかるに,今日その「習慣の道徳」をめぐっては憂慮すべき諸問題が生じていることを論じる。第4章では,以上の考察を踏まえて,倫理学が今後進むべき方向性について具体的な提言をおこなう。

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