バイデン政権における脱新自由主義的経済政策

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  • バイデン セイケン ニオケル ダツ シン ジユウ シュギテキ ケイザイ セイサク
  • Bidenomics and Post Neoliberal Economic Policy

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抄録

レーガン政権からトランプ政権まで,40年間続いた新自由主義経済政策が行き詰まり,その巨星的イデオローグであるミルトン・フリードマンとロバート・ヘロン・ボーグ両教授の没後それぞれ15年と10年が過ぎた現在,米国資本主義は行き詰まり,中国の挑戦を受けて,製造業は衰退し,所得格差拡大とグローバル生産体制の破たんが目立ち始めた。バイデン政権は,F・D・ルーズベルト政権のニューディール経済政策(自由放任を排し,政府の統制権と経営者・労働組合の三者共同の革新生産体制)に習い,あくまで資本主義の枠内での3R政策——救済・回復・改革——を通じて,経済の安定と再生を目指す政策を実現することとした。バイデノミックスの主要戦略は,(1)新自由主義下で衰退させられてきた労働組合を復興させ,賃上げと国内市場拡大をはかり,(2)労使協調による製造業復活によるビッグビジネスの再生,(3)M & Aを抑制し,寡占体制を改めて競争を活性化する,(4)産業秩序を乱す21世紀型キメイラ独占体——GAFAの解体的再編を断行する,というものである。バイデン戦略はそのなかでEV,半導体産業の再構築に向け,日本など同盟国とのサプライチェーン構築による経済秩序づくりを計る。さらに,残るニューディールのエネルギーを地球気候変動対応に向け,世界的リーダーシップの回復を目指す。ウクライナ戦争における米国主導のロシア制裁も米国のリーダーシップ回復を狙いとしているかのようである。(本論文執筆にあたり,経済学部・経営学部資料室の資料を全面的に活用させていただいことに深謝申し上げたい。)

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