Productivity, Demand and Inter-sectoral Labor Allocation in Japan

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  • 生産性要因、需要要因と日本の産業間労働配分
  • セイサンセイ ヨウイン,ジュヨウ ヨウイン ト ニホン ノ サンギョウ カン ロウドウ ハイブン

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Abstract

本稿ではまず近年の日本の産業間労働配分の推移を分析する。そしてサービス産業中の3部門(医療・保健,事業所サービス,情報サービスなど)が,製造業などから放出された労働力を吸収して発展してきたことを指摘する。理論上,産業間労働配分を決定する重要な要因として相対的な生産性の伸びと相対的な需要の変動の2 つがある。本稿ではこれらが果たしてきた役割を検討する。まず生産性について見ると,上記3 部門ではなく,製造業,中でも電気機械産業の伸びが著しかった。しかしこれは必ずしも同産業への最適な労働再配分が増加することを意味しない。生産性の伸びが生産物価格の大幅な下落を引き起こすのであれば,むしろそれは同産業から労働を撤収する理由となる。事実,同産業では大幅な価格低下がみられたにも関わらず,労働配分の再調整に向けた動きはこれまで緩慢であった。一方,上記の成長3 部門への労働配分の増加は,主に需要側の要因によるものと思われる。本稿では高齢化と特に関連が深い医療・保健部門を取り上げる。その結果,労働投入の急成長も需要の増加スピードには追い付いておらず,労働力不足が発生していることを見る。その理由として一つ考えられるのが,価格調整の欠如である。すなわち高齢化による需要増に見合うようにサービス価格の上昇が発生していないため,同部門における賃金水準が抑え込まれており,充分な労働を吸収できていない可能性がある。

特集●産業構造の変化と人材移動

Journal

  • 日本労働研究雑誌

    日本労働研究雑誌 55 (12), 37-49, 2013-12

    独立行政法人労働政策研究・研修機構

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