東京都のニホンナシ生産環境に配慮したハダニ類に対する総合的防除対策

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タイトル別名
  • Integrated pest management of spider mites on pears produced in Tokyo
  • トウキョウト ノ ニホンナシ セイサン カンキョウ ニ ハイリョ シタ ハダニルイ ニ タイスル ソウゴウテキ ボウジョ タイサク

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抄録

市街地に点在する東京都のナシ生産圃場において,薬剤の散布回数を低減するための手法として,各種の耕種的かつ生物的防除法を検討した。まず,東京都の主力品種である「稲城」でナミハダニの被害が他品種より顕著である原因を調査した結果,本品種は,巻いた形状の葉の比率が26.5%と,「幸水」の1.5%に比較して顕著に高く,「稲城」の品種特性に起因する可能性が示された。巻いた葉では薬液の付着程度が低下すること,また,薬液の付着指数が11段階中3以下で補正死虫率が大きく低下し,背負式動力噴霧器による散布で,巻いた葉では付着指数3以下の葉が全体の26.1%に達したことから,「稲城」でのナミハダニ多発生要因の1つが,葉の形状による薬剤の付着ムラおよび付着量の減少による薬効の大幅な低下であると推定された。下草管理によるカブリダニ類への影響ついて調査した結果,株元草生管理では全面除草よりもカブリダニ類の発生時期が早く,ナミハダニの寄生数を低く抑えた。天敵製剤「ミヤコバンカー(R)」と「スパイカル(R)プラス」の2剤を供試して,防除効果の比較および設置数と設置方法について検討したところ,慣行防除では殺ダニ剤の散布回数が7~9回であったのに対して,天敵製剤2種を組み入れた防除体系では,製剤の設置数と設置方法に関わらず,ハダニ類の発生を同程度に抑制しつつ,殺ダニ剤散布回数を2~3回まで削減できた。

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