塩酸ベタイン含有消化器改善薬の投与が牛の乾物摂取量,ルーメン性状および血中消化管ホルモン濃度に及ぼす影響

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タイトル別名
  • Effects of digestive drug containing betaine hydrochloride on dry matter intake, rumen profiles, and blood concentrations of gut hormones in non-lactating cows

抄録

本研究では,塩酸ベタイン含有消化器改善薬(BH)の採食量,第一胃性状,食欲亢進ホルモンおよび消化管ホルモンの血中濃度に及ぼす影響について検討した。ルーメンカニューレを装着したホルスタイン種牛(非搾乳牛)を4頭用いて,2処理区反転法で実施した。処理区は,BH(ビオペア,東亜薬品工業株式会社)90gを1日1回温湯とともに経口投与したBH区と,対照として温湯のみを投与するWT区であった。投与期間は7日間とし,期間中のルーメンpHおよび乾物摂取量を計測するとともに投与7日目の給飼前後にルーメン液および血液を経時的に採取した。その結果,ルーメンpHには,BH投与の影響が認められなかったが,ルーメン内のプロピオン酸割合はWT区と比較してBH区で低く(P=0.022),酢酸プロピオン酸比が高い傾向が認められた(P=0.073)。血液性状については,血漿グルコースおよび総コレステロール濃度がWT区と比べてBH区で低く(P=0.011,P<0.01),インスリンおよびグルカゴン様ペプチド-2(GLP-2)濃度が高値を示した(ともにP<0.01)。食欲亢進ホルモンであるグレリンの血中濃度にもBH投与の影響は見られず,乾物摂取量にも処理区間の差は認められなかった。以上の結果から,BHによる食欲増進効果は認められなかったが,インスリンやGLP-2の分泌促進作用を介して代謝機能改善に寄与する可能性が示唆された。

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