河畔植生における構成種の階層別被度を活用した在来植物群落(コゴメヤナギ高木林)から外来植物群落(ニセアカシア高木林)への推移過程の解析

書誌事項

タイトル別名
  • Shifts from native to non-native riparian plant communities analyzed using hierarchical phytosociological data
  • カハンショクセイ ニ オケル コウセイシュ ノ カイソウ ベツ ヒド オ カツヨウ シタ ザイライ ショクブツ グンラク(コゴメヤナギ タカギリン)カラ ガイライ ショクブツ グンラク(ニセアカシア タカギリン)ヘ ノ スイイ カテイ ノ カイセキ

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説明

植生調査による各種の被度の情報から、河畔植生における在来種のコゴメヤナギから外来種であるニセアカシアが優占する群落への遷移過程を、TWINSPANを用いて明らかにすることを試みた。高木林を対象とした一般的な群落区分では、各種の上層(高木層、亜高木層)、低木層、草本層における被度の最も大きな値を用いて群落タイプごとの種組成を表すことが多いが、そのような方法では、高木層で優占しうる樹木種の高木層以外での分布関係が把握できない。そこで、各種の高木層、亜高木層、低木層、草本層のそれぞれの被度の値を用い、上層~下層における分布構造の情報を生かした手順で解析を行った。TWINSPANで階層ごとの被度データを活用して解析を行った結果、河畔で優占するコゴメヤナギ高木林の下層では外来種のニセアカシアが生育するが、ニセアカシア高木林の下層ではコゴメヤナギの実生や低木が生育しないことが明らかになった。この結果から、大規模な河川水による撹乱がなければ、在来種のコゴメヤナギから外来種のニセアカシアが優占する高木林に推移していくことが示唆された。本研究のような階層ごとの被度情報を活用した解析手順は、外来種が侵入した森林の更新や遷移過程を理解する上で、毎木調査による樹高や幹の直径などの情報が無いときでも有効であると考えられる。

収録刊行物

  • 日本生態學會誌

    日本生態學會誌 72 (1), 13-25, 2022-03

    京都 : 日本生態学会誌編集委員会

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