シンクロトロン光を利用した尿素非生産性の愛知県酵母の育種

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タイトル別名
  • Use of synchrotron light as a mutagen for breeding non-urea producing Aichi sake yeast
  • シンクロトロン ヒカリ オ リヨウ シタ ニョウソ ヒセイサンセイ ノ アイチケン コウボ ノ イクシュ

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抄録

高輝度,高指向性といった特徴を有すると共に,波長範囲の広い白色光源であり,分光器により任意の波長を選択して利用可能なシンクロトロン光を変異原として活用し,尿素非生産性酵母の育種を行った。愛知県酵母FIA2にシンクロトロン光を照射した後,CAO寒天培地,Arg及びOrn寒天培地を用いてアルギナーゼ欠損候補株を選別した。EMS処理についても同様の選別工程を行った。選別株の発酵試験を行い,親株FIA2と同等のアルコールや酸の生成能を示したAl0.5mm-8を尿素非生産性酵母の実用株として選抜した。Al0.5mm-8はシンクロトロン光照射により取得された株であり,シンクロトロン光が変異原として利用できることがわかった。取得した尿素非生産株21株の内16株(シンクロトロン光照射による取得株11株,EMS処理による取得株5株)について,CAR1遺伝子を解析した。その結果,シンクロトロン光照射によって塩基置換が生じた9株の内,EMS処理において高頻度で生じるとされるG/C→A/Tへの置換が生じていたのは5株であり,G/C→A/Tへの偏りが少なかった。また,塩基欠失もある程度の頻度(11株中4株)で生じていた。Al0.5mm-8の中間規模醸造試験を行った結果Al0.5mm-8は尿素を生成せず,FIA2と同等の醸造特性を持つことが確認された。

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