切迫早産に対する硫酸マグネシウム水和物の 持続静脈内投与に伴う血管痛を軽減できた1症例

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  • A case of reducing vascular pain associated with continuous intravenous administration of magnesium sulfate hydrate in threatened premature labor

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抄録

35 歳女性、2 妊 1 産。第 2 子妊娠 28 週 0 日、切迫早産のためリトドリン塩酸塩注を 107 μg/分で投与していた際にクレアチンキナーゼが 623 IU/L まで上昇した。患者はリトド リン塩酸塩注の減量を余儀なくされ、代替薬として硫酸マグネシウム水和物注の投与が開 始された。その時、患者は強い血管痛を訴えた。そこで、我々は点滴の浸透圧と pH を測 定し、臨床症状のモニタリングと組み合わせて、その発生要因について検討するとともに、 主治医に対して血管痛を軽減するための処方提案を行ったので報告する。 点滴の浸透圧と pH の測定結果、そして臨床所見から硫酸マグネシウム水和物注のボー ラス投与で生じる血管痛は、高浸透圧と低 pH、そして薬剤そのものによる局所刺激のい ずれも関与している可能性があると考えられた。その一方で、硫酸マグネシウム水和物注 の持続静脈内投与で生じる血管痛は、浸透圧と pH の影響は少なく、主に薬剤による局所 刺激が関与している可能性が考えられた。よって、我々は硫酸マグネシウム水和物注を 5% ブドウ糖液で希釈して、流速を高める提案を行ったところ、毎時 60 mL(硫酸マグネシウ ム水和物として 1 g)を超えた時点で血管痛がほぼ消失した。このことから、硫酸マグネシ ウム水和物注の持続静脈内投与において 5%ブドウ糖液による希釈濃度と流速を調節し、 末梢静脈との接触を低減させることで血管痛を軽減できる可能性が示唆された。

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