具象絵画における絵具層の透明度に関する一考察

書誌事項

タイトル別名
  • A Study on the Transparency of Paint Layers in Representational Painting
  • グショウ カイガ ニオケル エノグソウ ノ トウメイド ニ カンスル イチコウサツ

抄録

絵具の透明度の大小の差を利用した描画技法について、西洋絵画を中心に検証を行い、15世紀フランドル絵画から透明度を生かした表現が多数見られ、その後は経年とともに不透明な絵具層による表現への変遷があることを確認した。また油絵具では展色剤である乾性油の黄変があるため、油を多用することで皮膜の黄変は増加する。加えて、油絵具の透明度に関連する要素として特に粒子の大きさや隠ぺい力が挙げられ、小さな顔料粒子の隠ぺい力は強い。一方でアクリル絵具の主な特徴は速乾性、乾燥後の高い耐水性、乾燥後の塗膜の高い柔軟性などとともに、アクリル合成樹脂の高い透明度も挙げられる。油絵具は乾性油を展色剤とするがゆえに経年による黄変は避けられないが、アクリル絵具には黄変が少ないという点も長所である。これらの絵具を用いた技法として透層技法と並置技法がある。透層技法は高い透明度と深い色彩を得られ、複数の透層による複雑な色彩を生み出すことができる。並置技法は視覚混合による高彩度な色彩を獲得できる。乾燥速度の早いアクリル絵具が並置技法の表出を得意としており、ドライブラッシュ、ハッチング、点描、洗い出し等によって絵具の並置を作る。透層技法はグレーズが代表的で、油絵具での表現が有効である。アクリル絵具・油絵具との併用で透層・並置技法を利用して制作した作品を基に検証し、二種の絵具の併用における有用性を実証した。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1050858762338565504
  • ISSN
    24359793
  • Web Site
    http://hdl.handle.net/10232/00032505
  • 本文言語コード
    ja
  • 資料種別
    departmental bulletin paper
  • データソース種別
    • IRDB

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