占領期日本における大麻規制の移入過程 : GHQ/SCAP資料に基づく批判的検討

書誌事項

タイトル別名
  • The Process of Transferring Marijuana Regulations in Occupied Japan: Critical review based on GHQ/SCAP documents

この論文をさがす

抄録

本稿は占領期日本でどのようにして大麻所持への厳罰化と一部の栽培等免許制を認める「大麻取締規則」「大麻取締法」が制定されたのかを,GHQ/SCAP の公衆衛生福祉局による資料から明らかにしようとするものである。もともと占領直後に出された指令では,大麻は他の薬物と同じく「麻薬」とされ,栽培も原則禁止とされていた。それがどうした議論を経て,栽培等免許を認める制度に至ったのかが大きなテーマである。資料調査から分かったことは,米国連邦麻薬局から派遣された麻薬取締官と公衆衛生福祉局は,日本側から複数受けていた栽培許可の陳情を拒否し,一貫して禁止を主張していた。しかし,戦後の「物資不足」を懸念するGHQ/SCAP の他部局が介入し,両者の妥協点として現行「大麻取締法」の原型となる指令が発出されたということである。本稿は戦後日本で何か具体的な「大麻問題」が先にあったのではなく,占領政策としては戦中日本の「阿片問題」がまず念頭におかれ,付随的に大麻規制政策が移入してきたことを論証する。近年,多くの諸国で大麻厳罰化政策が見直されつつある中,日本ではどういった経緯で現行法にある「個人への厳罰化」が定位され,現在に至っているのかを再認識する必要がある。

大麻取締法

大麻取締規則

占領史

公衆衛生福祉局

批判的犯罪学

identifier:BS004700011490

収録刊行物

  • 佛大社会学

    佛大社会学 47 52-68, 2023-03-20

    佛教大学社会学研究会

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ