留学生周樹人周辺の「ニーチェ」及びその周辺*

書誌事項

タイトル別名
  • リュウガクセイシュウジュジン シュウヘン ノ 「 ニーチェ 」 オヨビ ソノ シュウヘン
  • The Milieu of “Nietzsche” and The Milieu of the Overseas Student Zhou Shuren

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抄録

本論では、テキスト調査により、周樹人(のちの魯迅)が留学時代に書いた論文である「文化偏至論」に記述されているニーチェの言説は、彼がニーチェの原書を読んでまとめたものではなく、桑木厳翼『ニーチェ氏倫理説一斑』から直接翻訳されたものであることを初めて発見し、当時清国留学生であった周樹人が実際に直面した「ニーチェ」の真相を実証的に明らかにしたものである。その上で本論では、これまでの先行研究における「魯迅とニーチェ」の関係の枠組みにおいて論じられてきた「ニーチェ」は、ほとんど留学期の周樹人が実際に直面した「ニーチェ」ではなく、「魯迅」となった以後の「魯迅」を想像することによって構築された「ニーチェ」であると指摘した。さらに留学生周樹人の周辺の「ニーチェ」とその周辺を考察し、ドイツ語、丸善、高山樗牛および「美的生活論争」などを含め、当時の「魯迅」がニーチェに接していた思想的環境を再現することを試みた。

周樹人

ニーチェ

周辺

桑木厳翼

個人主義

identifier:BO010700011471

収録刊行物

  • 文学部論集

    文学部論集 107 1-28, 2023-03-01

    佛教大学文学部

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