会計基準間競争の実現可能性 : 米国会社法との比較から

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  • カイケイ キジュン カン キョウソウ ノ ジツゲン カノウセイ : ベイコク ガイシャホウ ト ノ ヒカク カラ
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  • Kaikei kijunkan kyōsō no jitsugen kanōsei : Beikoku kaishahō tono hikaku kara
  • Feasibility of competition among accounting standards : comparison with U.S. corporate law

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「高品質で,ただ一つの」基準開発を目指すIASBの姿勢に対して,しばしば複数の会計基準を認めることでその選択を市場に委ねるいわゆる基準間競争の必要性が主張され,米国会社法の州際競争がその根拠として引き合いに出されることが多い。そこで本稿では,米国会社法における州際競争の議論をサーベイし,会計基準の供給のあり方と比較することで,基準間競争の実現可能性を検討した。公共財である会計基準や会社法が「底辺への競争」とならずに市場競争に委ねられるには,ルールの最終的な便益を享受する株主の選好がルールを供給する州やそれを採用する企業のインセンティブに影響を及ぼし,さらにルールを利用する対価が供給主体に支払われる仕組みを確立する必要があった。会社法では,その選択と設立州,すなわち税等を納める州の選択が一致しているために,ルールの供給者である州に対し,需要者である企業が対価を支払う仕組みが確立されているが,会計基準にはそのような仕組みがないばかりか,選択するルールを変更するスイッチング・コストも会社法と比べ多額になる。そのため現状は,金銭的インセンティブに基づく市場競争によって高品質な会計基準を選別できる状況にないと結論づけた。 It has been argued that the development of a single set of high-quality and globally accepted standard by the IASB requires competition among standards through the use of market mechanisms. This paper presents a discussion of competition among accounting standards based on a review of previous studies and points out, through a comparison with U.S. corporate law, that competition among accounting standards is not likely to be realized under the current situation where suppliers of accounting standards do not have a system to appropriately collect and redistribute fees for their use from users.

髙久隆太教授退任記念号 論文

Journal

  • 三田商学研究

    三田商学研究 65 (5), 61-70, 2022-12

    慶應義塾大学出版会

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