<論考> 200万語の多読を授業外で達成した大学生の事例研究

書誌事項

タイトル別名
  • 200マンゴ ノ タドク オ ジュギョウ ガイ デ タッセイ シタ ダイガクセイ ノ ジレイ ケンキュウ
  • <Article> A Case Study of a College Student who Read Two Million Words out of the Classroom
  • ロンコウ 200マンゴ ノ タドク ヲ ジュギョウガイ デ タッセイシタ ダイガクセイ ノ ジレイ ケンキュウ

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抄録

type:01 紀要論文 / Departmental Bulletin Paper

本稿では,1年4か月間に授業外で200万語を超える多読を達成した非英語専攻の女子大学生の事例を,多読記録とメール及びインタビューでのやりとりをもとに報告する。彼女は大学入学後に独力で多読に挑戦したが,継続できなかった。そこで,3回生の春学期に大学内で多読指導を実施している筆者にアドバイスを求めた。筆者の助言の下,易しい英語本から読むことをスタートし,多読の記録を自発的に筆者にメールで送付した。筆者は送られてくる多読記録に目を通し,フィードバックをメールで返す方法で指導を繰り返した。メールでの多読記録提出は9回に及び,対象学生は3か月で約16万語,6か月で40万語,1年で140万語と読み続け,1年4か月後には2,191,609語(YL2.6レベル)を読了した。その結果,5000語の長さの本であれば2冊程度まで一気に連続して読了できるようになり,200万語を読み終えた大学4回生の12月に実施したインタビューでこれまでの多読経験を振り返った。対象学生が授業外多読で200万語以上を読破できた要因を検証した結果,易しい本からスタートするという多読法(古川, 2021)を用いたこととGuthrie and Wigfield(2000)のリーディングエンゲージメントモデルの複数の要因が多読の成功に影響したことが明らかになった。中でも特に教員の多読指導の知識,適切な励まし,称賛や多読本へのアクセスが成功への大きな要因となったことが示唆された。

収録刊行物

  • 大阪経大論集

    大阪経大論集 74 (1), 37-51, 2023-05-15

    大阪 : 大阪経大学会

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