被全世話人と在精神科病院触法障碍者の選挙権の制限 : ドイツ連邦憲法裁判所の選挙審査抗告決定をめぐって

書誌事項

タイトル別名
  • Wahlrechtsausschlüsse von Menschen mit Behinderung : Wahlprüfungsbeschwerde vor dem Bundesverfassungsgericht
  • ヒゼン セワニン ト ザイセイシンカ ビョウインショクホウショウガイシャ ノ センキョケン ノ セイゲン : ドイツ レンポウ ケンポウ サイバンショ ノ センキョ シンサ コウコク ケッテイ オ メグッテ

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抄録

ドイツの連邦憲法裁判所は、二〇一九年一月二九日の決定において、被全世話人と在精神科病院触法障碍者に選挙権を認めないドイツ連邦選挙法一三条二号および三号を違憲であるとした。  この決定では、選挙審査抗告の制度趣旨から、基本法における「普通選挙の原則」と「障碍を理由とする不利益の禁止」の具体的内容、そして国際人権条約の国内法的効力や裁判における取扱い、さらには違憲判断の事後処理にいたるまで、選挙権をめぐる実体憲法論と憲法訴訟論のさまざまな論点が示されている。他方、日本でも成年被後見人と受刑者の選挙権の制限という形で同様の憲法訴訟が提起され、近年、いくつかの裁判例がある。  本稿では、本決定を同じ論点についての日本の裁判例と比較分析することによって、選挙権という民主主義の根幹にかかわる憲法問題への対応における憲法裁判所型の違憲審査と司法裁判所型の違憲審査の共通点と相違点を明らかにする。そしてそこには、一般の訴訟法を「借用」した憲法訴訟の積極的側面と同時にその困難性、すなわち、一般の訴訟法の運用によって実質的な憲法訴訟法を形成することの限界も確認することができる。

収録刊行物

  • 法学新報

    法学新報 127 (5-6), 503-528, 2021-03-24

    法学新報編集委員会

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