認知症予防を意識したサイコロ型ビンゴゲーム「サンコロビンゴ」の提案

抄録

医療技術が発展するにつれ平均寿命は延び,我が国は超高齢社会に突入した.しかし未だ平均寿命と健康寿命との差は男性で約 8 年,女性で約 12 年ある.日本の高齢者は人生の締めくくりの 10 年を自立して生活ができていない状態にある.高齢者が介護を要する主な要因に認知症があり,今後も認知症患者は増加すると予測されている.認知症は様々な理由で脳細胞が正常に機能しなくなる脳の病気である.発症することで記憶や判断力の障害が起こり,日常生活にも支障をきたすが,認知症は対策をすることで発症を遅らせられる可能性がある.認知症の主な予防策として,脳トレ,適度な運動,コミュニケーションが有効であるとされている.さらにこれらの予防策は継続的に行うほど効果的である.したがって認知症予防の 3 要素をゲームとして取り入れることで,高齢者がモチベーションを維持し続けながら認知症の対策に取り組めるようになるのではないかという仮説を立てた.そこで筆者らは,計算,大きなサイコロを動かす,対戦といった要素を取り入れ,高齢者が楽しく認知症予防を行えるようなサイコロ型ビンゴゲーム「サンコロビンゴ」を提案する.本論文では開発したシステムのコンセプトと実装した 2 種類のプロトタイプを説明するとともに,本システムを展示して得られた知見について述べる.

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