スポーツ指導者による体罰を助長する保護者からの期待

機関リポジトリ Web Site オープンアクセス

書誌事項

タイトル別名
  • Parents' expectations that facilitate corporal punishment by coaches
  • スポーツ シドウシャ ニ ヨル タイバツ オ ジョチョウ スル ホゴシャ カラ ノ キタイ

この論文をさがす

抄録

本研究では、児童・生徒を主な指導対象とする公認スポーツ指導者資格を有する指導者135名を対象として調査を実施し、これまでの体罰経験を明らかにした上で、スポーツ指導者による体罰を助長する保護者からの指導に対する期待及びプレッシャーについて明らかにすることを目的とした。

分析の結果、対象者の約33%にあたる45名の有資格指導者が過去5年間に暴力、暴言、威圧、しごき、セクハラのいずれかの体罰を行っていたこと、また体罰は減少しているものの体罰の種類の間で改善傾向に差が認められることが明らかになった。他方、保護者から期待されている指導内容としては、楽しさが最も高く、協力、体力技術、努力、礼儀、成績の順に全ての種類で期待が高かった。さらに、保護者から指導に対するプレッシャーを感じる指導内容としては、楽しさに関する指導を挙げる指導者がやや多かった。そして保護者からの指導に対する期待及びプレッシャーの内、礼儀に対する期待が指導者による威圧を用いた指導を助長することを示していた。

本研究の結果、スポーツ指導者による体罰は減少傾向にあるものの、まだ体罰に頼った指導が行われていること、そして指導者による体罰に保護者からの指導に対する期待という状況要因が関係していることを示す結果が得られた。今後は保護者を対象とした調査を通じて、実際に保護者が指導者に対して期待している指導内容について明らかにしていく。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ