大豆たんぱく質とスクロース過剰摂取と脂質の質の相互作用がストレス負荷ラットの情動行動に及ぼす影響

書誌事項

タイトル別名
  • Effect of high sucrose and soy protein and fatty acids on aggressive and anxiety behavior of rats exposed stress
  • ダイズ タンパクシツ ト スクロース カジョウ セッシュ ト シシツ ノ シツ ノ ソウゴ サヨウ ガ ストレス フカ ラット ノ ジョウドウ コウドウ ニ オヨボス エイキョウ

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抄録

【目的】既報では,カゼインたんぱく質で脂質の質と運動がラットの情動行動に及ぼす影響について報告した。本報では大豆たんぱく質とスクロースがストレス負荷ラットの情動行動に及ぼす影響について比較検討を行った。 【方法】Sprague-Dawley 系ラットの4週齢(雌)を無作為にストレス有群とストレス無し群に分け,その両群の中を脂質のn-9,n-6,n-3系の3群に分けた。ストレス負荷は,総金網ケージ,ストレス無しはプラスチックケージで飼育を全期間行った。更に,各脂質群の中をスクロース添加と無添加に分けて行った。更に,ストレス無し群の中のスクロース添加群は運動有無に分けた。 実験飼料のたんぱく質として大豆たんぱく質とカゼイン,脂質としてn-9系オリーブ油,n-6系紅花油,n-3系エゴマ油を使用した。その他の成分は全ての食餌群で同じであった。実験飼料は全ての食餌群のカロリー量を同じにして毎日投与し,8週間飼育を行った。運動はラット用トレッドミルを使用して週2回,一匹5分間で行った。攻撃行動実験はラットの胴体のサイズと同じ大きさの筒の中で対戦させ,先に押し出された方を「負け」とした。不安行動実験は高架式十字迷路試験で行った。運動はラット用トレッドミルを使用して行った。 【結果】攻撃行動実験の場合,ストレス負荷で大豆たんぱく質では,エゴマ油群でスクロース添加はスクロース無添加より攻撃性が有意に低かった。一方,ストレス無しで大豆たんぱく質では,スクロース添加は紅花油群とエゴマ油群の攻撃性がスクロース無添加より高い傾向が認められた。脂肪酸同士の比較では,ストレス負荷の場合,スクロース無添加での攻撃性の強さはエゴマ油>オリーブ油>紅花油の順になり,スクロース添加ではオリーブ油>エゴマ油>紅花油の順になった。脂肪酸同士でストレス無しの場合の攻撃性の強さは,スクロース添加ではオリーブ油>紅花油>エゴマ油の順になった。運動とスクロース添加での攻撃性の強さは,ストレス無しで紅花油>エゴマ油>オリーブ油となった。不安行動実験では,大豆たんぱく質でストレス無しの場合,エゴマ油群はスクロース添加により有意に不安感が高くなった。一方,ストレス負荷で大豆たんぱく質の場合,スクロース添加により紅花油群で有意に不安感が高くなったのが認められた。また,スクロース添加同士でストレス無しの場合,運動の影響はオリーブ油群で有意に高くなったのが認められた。紅花油群とエゴマ油群では運動の影響はみられなかった。 【考察・結論】ストレス負荷に対してスクロース過剰と大豆たんぱく質や脂質と運動がラットの攻撃性や不安感に及ぼす影響について比較検討を行った。攻撃行動や不安行動にスクロースや大豆たんぱく質や運動の関与は示されたが,脂質の質の違いにより影響は異なることが明らかとなった。

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