計量テキスト分析を用いた産前・産後の夫婦関係の認識に関する研究

書誌事項

タイトル別名
  • Study on recognition of prenatal and postnatal marital relationships through Quantitative Text Analysis..

この論文をさがす

抄録

本研究の目的は, 3 歳以下の子どもを持つ夫と妻を対象にアンケートを行ない,「子どもが生まれる前の夫婦関係の理想像」,「産後の夫婦関係の変化」「産後の変化がない夫婦関係」に関する自由記述について計量テキスト分析を行ない,産前の夫婦関係の理想と産後の夫婦関係の変化について探索的に検討を行なうことであった。 令和3 年3 月にクロスマーケティング社に依頼し,現在3 歳未満の子どもがいる核家族を対象に,WEB 上でのアンケート調査を実施した。全ての自由記述に「なし」と回答した父親24名、母親11名は分析から除外し,分析対象は夫76名,妻59名の合計165名となった。  KH coderを用いて対応分析を行なった結果,第1 軸は「不均衡な関係」-「対等な関係」と解釈され,第2 軸は「相互」-「個別」と解釈された。それぞれの記述の布置から,①夫と妻で「産前の理想の夫婦像」に違いは見られず,個別的で対等な関係を理想としていたこと,②夫と妻の「産後の夫婦関係の変化」に関する認識には違いがあり,妻が「夫」や「自分」に対する個別的で不均衡な関係性について認識しているのに対し,夫は「子ども優先」「子ども中心」「自分たち」など相互の不均衡な関係性について認識していること,③夫と妻の「産後の夫婦関係の変化がない」部分に関する認識は類似しているが,夫は「お互い」「家事」「分担」など生活に関する部分を,妻は「愛情」や「信頼」など感情に関する部分を挙げることがわかった。 本研究の限界として,縦断的な調査ではなく,夫と妻のペアデータでもなかったため,子どもが誕生する前の夫婦関係の理想像と子どもが生まれた後の現実の夫婦関係をどのようにすり合わせていくのか,そのプロセスについて言及することができないことが挙げられ,今後も引き続き検討の必要があることが述べられた。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ