中国帰国者の高齢化に伴う異文化「介護」支援の歩み

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タイトル別名
  • History of Cross-Cultural Nursing Care Support for Aging Chinese Returnees

抄録

2022年は,満州国の建国から90年,日中国交正常化から50年の節目の年。 1945年の日本の敗戦によって,敗戦直後の混乱の中で,満州の地で親と離別した幼い子供たちは,いわゆる中国“残留孤児”となった。日本に帰るに帰れないまま,中国人の養父母に育てられ,望郷の念を胸に中国で暮らしていた。 1972年の日中国交正常化は,戦後長く中国に留まらざるを得なかった残留孤児に帰国の道を開いた。一方,1981年に始まった残留孤児の肉親捜しによる家族を伴う永住帰国から40年の歳月が過ぎた今,残留孤児の平均年齢は80歳を超え,“孤児”が“孤老”となった。高齢に伴って,介護を必要とする“孤老”が年々増えて,超高齢化が進んでいる。現状では,中国語に対応できる介護施設は少なく,言葉や文化,習慣の違いから孤立の晩年を強いられている。 本稿では,1990年代からすでに生じていた中国帰国者2 )の介護支援における取り組み等を記録として時系列に整理し,そこから浮かび上がってくる高齢化に伴う介護問題について概観する。

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