鹿児島大学におけるキャリア教育プログラムの構造と各科目の役割 : 社会人基礎力を中心として

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  • Structure of the Kagoshima Career Education Program and the Role of Each Subject : Essential Competencies

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抄録

本稿は鹿児島大学総合教育機構において実施されている「かごしまキャリア教育プログラム」について論じるものである。経産省の提唱する「社会人基礎力」が本教育プログラムの中でいかに育成されているのかを中心にすえる。「社会人基礎力」に着目するのは、同能力が仕事をする上で必要となる基礎的かつ汎用的な能力として、それら育成の社会的要請が高まっているからである。ところが、高等教育において「社会人基礎力」は重視されつつも教育方法について確立されたとは言えないであろう。鹿児島大学総合教育機構の教育スタッフは、「社会人基礎力」育成の社会的要請に応えるために、1つの教育プログラムとして「かごしまキャリア教育プログラム」を開発した。本稿は、「かごしまキャリア教育プログラム」を構成する各授業の開発意図や創意工夫を示し、それら総体が「社会人基礎力」の育成へいかに結実していくのかを論じるものである。  上記の問題関心にしたがって本稿は以下のような構成をとる。まずⅡでは、鹿児島大学の「地域人材育成プラットフォーム」の1つである「かごしまキャリア教育プログラム」の概要を論じることに始まり、以降は主要科目ごとに科目の特徴について次の順序で論じる。Ⅲ「キャリアデザイン」、Ⅳ「社会人基礎力演習」、Ⅴ「チャレンジ・ビジネス」、Ⅵ「地域キャリア・インターンシップ事前演習・地域キャリア・インターンシップ」、Ⅶ「地域キャリア・インターンシップ修了演習」の以上となる。これら科目の順序は受講生の履修プロセスに沿ったものである。 「かごしまキャリア教育プログラム」の各種科目の特徴について論じる際、次の諸点よりアプローチする。第1に授業の基本的な情報である。例えば授業の形態、教育目標、ねらいについてである。第2に、授業の構成について日程や教育の過程を論じる。第3に授業における工夫について、使用するツールや教材、教育的仕掛けなどを教育効果とともに論じる。第4として、各科目において習得されると想定できる社会人基礎力を数値やレーダーチャートによって表現し、「社会人基礎力」を中心として各科目の特性について述べる。  上記のような一連の作業や考察を通じ、「かごしまキャリア教育プログラム」の「社会人基礎力」育成のあり方を明示することで、鹿児島大学の経験が広く高等教育機関で応用されることを企図するものである。同時に、「かごしまキャリア教育プログラム」の優位点や劣位点が明らかとなることから、同プログラムの今後を展望する。

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