膝関節における固有感覚の研究

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固有受容器は身体の空間での位置や運動の感覚に関連した受容器であり,身体の運動を制御し,具体的でしかも精緻な動作を遂行するために重要である.したがって関節やその周囲におけるこれらの識別能力の低下や障害は運動技能に大きな影響を及ぼすと考えられている.本研究では健常人および膝関節障害患者を対象とし,等速性運動測定装置を使用して,膝関節屈曲30度の位置より不意に下腿を落下させ,それを元の位置に素早く戻すという一連の動作より運動感覚と位置感覚を客観的に評価した.その結果,膝関節障害患者や高齢者では運動感覚および位置感覚の障害が示唆され,また健常人でも加齢に伴っても障害されることが示唆された.つまり本研究では感覚受容器―神経―運動器協調機能を関節の運動感覚と位置感覚ということで客観的に評価でき,しかも再現性があるので障害患者や術前後の患者の機能評価に有用であると思われた.また筋力増強や関節可動域の拡大などを目標にした従来のリハビリテーションだけでなく,感覚受容器―神経―運動器協調機能の向上を目標とした動的関節制動に対するリハビリテーションにも必要であると考えられた.

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