日本資本主義精神論争史の再検討:内藤莞爾・大塚久雄・富永健一の貢献を中心に

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  • Reconsideration of the History of the Capitalistic Spirit Controversy in Japan:Focus on the Contributions of Kanji Naitō, Hisao Ōtsuka, and Ken’ichi Tominaga

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抄録

1940 年代から 1990 年代頃にかけて,じつに M. ヴェーバーの「資本主義の精神」をめぐる俗流解釈が幅を利かせていた。本稿では,(1)大塚久雄による土屋喬雄批判(1964/1965),(2)内藤莞爾による旧稿(1941)の改稿(1968),(3)富永健一による既往論点の整理と近代化理論の定式化(1990 年前後-1998 年頃)の 3 点を,「日本資本主義精神論争」史上の画期的な転轍点(ターニングポイント)として提示する。先達の仕事は,その貢献にもかかわらず必ずしも充分に評価されてきたとはいえない。「日本資本主義精神論争」はまた,日本におけるヴェーバー受容史と軌を一にしてきた。ヴェーバーの諸論考は,常に他の著作群との「相互補完関係」(折原浩)を念頭に置いて丹念に読まないと,真意を読み損ねてしまう。それゆえかつての俗流解釈が復活を遂げ,亡霊のように我々の周辺を徘徊する事態にいつ出くわさないとも限らないが,これを憂え放置してばかりもいられない。異常を異常として認識し,地道にかつ果断に繰り返し糺し,このましからぬ事態を打開していくことこそ,ヴェーバーに学ぶ者全てに与えられる責務であろう。

日本資本主義精神論争

内藤莞爾

R.N.ベラー

土屋喬雄

大塚久雄

富永健一

貢献

identifier:DS005200011719

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