cAMPアナログが誘導する培養アストロサイトの星状化に及ぼすメチル水銀の影響

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  • Influence of Methylmercury on Stellation Induced by a cAMP Analog in Cultured Astrocytes

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抄録

我々は、ラット新生仔の大脳半球から得られたアストロサイトをdibutyryl cyclic AMP(dbcAMP)含有無血清培地で培養し、2 µM以上のメチル水銀を曝露すると、3時間以内に形態が星状から石垣状に変化することを明らかにしてきた。本研究では、前処理されたメチル水銀がアストロサイトの形態変化に及ぼす影響を明らかにするために、大脳半球アストロサイトを15%血清含有培地で培養し、メチル水銀(2 µM)または溶媒(エタノール)のみを3時間曝露してから、dbcAMP含有無血清培地に交換し、アストロサイトの形態と水銀蓄積量の経時変化を調べた。溶媒のみを曝露した対照細胞では培地交換後1時間以内にほぼすべての細胞が急速に星状化し、24時間後までその形態を保持していた。メチル水銀を曝露した細胞では、培地交換の1時間後では石垣状の形態の細胞も見られたが一部の細胞で星状化が始まっており、3-6時間で対照細胞と同様にほとんどの細胞が星状の形態を示した。水銀蓄積量は、培地交換後低下し続けたが、特に最初の6時間は低下速度が速かった。以上の結果から、メチル水銀は、星状のアストロサイトを石垣状に変化させるだけでなく、cAMPアナログが誘導するアストロサイトの星状化を抑制することが明らかになった。また、アストロサイトの星状化の進行が水銀蓄積量の低下と関係している可能性が示唆された。  キーワード:メチル水銀, アストロサイト, 形態, 水銀蓄積量

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