「共に感じる」ということ ―ケア関係における「共感」概念についての批判的検討―

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タイトル別名
  • “feeling with”the other: Empathy on Caring

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抄録

本稿は,ケア関係において求められる「共感」のあり方について,これまでの共感概念や共感に関する議論を追いながら考究するものである.伝統的な共感の理論は,他者の感情について分析・類推によって反省的に理解を深めることで他者を把握することを唱えた.また,近代的な感情移入論では,他者を知覚することの中で模倣と表現を通して,他者の自我を私に体験可能なものとすることを主張する.こうしたそれぞれの理論に対し,ケア関係における「共感」はそこで述べられている他者との関わり方それ自体を批判する.ケア関係における「共感」は,他者に入り込むのではなく,その受け容れを基礎とし,他者を私と相対する存在として具現化することこそが求められる.これによってケア関係において,「私とともに他者が自己となること」というケアの対話的な相互性が現れうる基盤が形作られるのである.

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