自然習得者における中間言語的特徴の定着化 : 自然談話データにみる連体修飾表現を中心に

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書誌事項

タイトル別名
  • Stabilization of interlinguistic features by non-native speakers who acquired Japanese in natural setting: Adnominal expressions of natural conversational data
  • シゼンシュウトクシャ ニ オケル チュウカンゲンゴテキ トクチョウ ノ テイチャクカ シゼンダンワ データ ニ ミル レンタイシュウショク ヒョウゲン ヲ チュウシン ニ

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抄録

本研究は、来日し、日本語習得を開始して10年前後の自然習得者にみられる連体修飾表現の運用を記述し、中間言語的特徴の定着化の様相を明らかにすることを目的とした事例研究である。分析は、タイ語を母語とする自然習得者2 名と、同じくタイ語を母語とする教室学習者2名の談話データを対象に進めた。分析の結果、以下の点が明らかになった。a)  自然習得者は、連体修飾表現の使用が教室学習者に比べ少ない。これは、コ系指示詞を用いた情報付加によって、連体修飾表現を回避していることが要因として考えられる。b)  自然習得者は、動詞による連体修飾節の使用が極めて少ない。日本語の連体修飾節はインプットにおいて形式的な手掛かりがないため、連体修飾節に気づかず、分析ができないため習得、使用が少ないのだと考える。c)  自然習得者の中間言語的特徴の定着では、「ノ」の脱落、他の助詞による「ノ」の代用、「ノ」の過剰使用が認められる。これらの特徴は習得初期から出現しているものであると考えられ、それが定着して使用されていると指摘できる。d)  自然習得者の中間言語的特徴が定着した背景には、日本語に連体修飾表現であることをマークする関係代名詞などがないために、インプットを分析して連体修飾表現を作り出す方法を習得することが難しいことに加え、中間言語的特徴に対する母語話者などからの否定的反応があまり得られないことによると考える。

収録刊行物

  • 阪大日本語研究

    阪大日本語研究 28 53-76, 2016-02

    大阪大学大学院文学研究科日本語学講座

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